【妄想物語】出会い編

■目次

妄想物語 緑茶・出会い編

妄想物語 里美・出会い編


作者紹介


■妄想物語 緑茶・出会い編

俺の名前は緑茶。
24歳DTだ。
彼女いない暦=年齢・・・・だった、今年の1月まで。

妹に、妹の親友を紹介された。名を里美という。
彼女のいなかった俺にとって、まさに女神と呼ぶにふさわしい。
顔立ち、プロポーション、どこをとっても、俺には余りある。
ちょっとドジっぽいところが、この上なくかわいい。

妹の紹介なので、会う直前まで気が進まなかったが、出会った瞬間に確信した。
これが一目ぼれというやつか・・・。


この最近は毎週デートしている。
最初のデートこそ、今ひとつだったけど、それなりにうまくいっていると思う。
彼女は、小学校のときのイジメがもとで、男嫌いになったらしい。
俺は”男”と言うより、”お兄ちゃん”なのだそうだ。
一度は、”男と女の付き合いをしたい”と宣言したが、
結局は、お兄ちゃんと妹として、ずっと過ごしてきた。
だが、それもいい。
兄として慕ってくれる里美は言葉で表現できないほど愛らしいのだ。

彼女は失いたくない。
この子を失ったら、一生DTなんじゃないかと思う。

知り合ってからずっと里美のことを思っている。
この3ヶ月間・・・。
そう。今は4月。桜の咲く季節。


いつもの代わりのないはずのデート。
仕事を適当に済ませ、食事するだけのデート。

しかし、今日の俺は、ちょっと違う。


“お兄ちゃん”として接されるのは、はじめこそ抵抗があった。
俺は、恋人がほしかったのだ。決して妹がほしかったのではない。
現に、妹ならいる。こいつも早く嫁池と・・・まぁ、こいつのことはどうでもいい。
もっとも、妹には感謝しているがな。

しかし、その里美の“お兄ちゃん”に、満足している自分がある。
“お兄ちゃん”でいることで、彼女はいろんな悩みを相談してくれる。
「何だよそれ!」
という気持ちも、確かにあったが、
それ以上に、彼女を失いたくない気持ちのほうが勝っていた。

恋人とは違うのだが、彼女に一番近い存在であることが確かだから。
彼女が喜んでくれるなら、それが自分にも幸せ。
気がついたら、それを真実として受け止めていた。


でも・・・・
なにか、違う。
やはり、俺は自分の愛すべき”彼女”がほしいのだ。
3ヶ月付き合って、里美の心はずいぶん変わった。
うぬぼれに聞こえるかもしれないが、彼女は俺のことを
”兄”以上の人間と思っている。
・・・とおもう。
・・・っていうか、だったらいいな・・・と思っている。

3ヶ月の沈黙を耐え、酒の力をかり、今日、ブレイクアウトしようと思う


メール
俺「桜がいい季節になりましたね。夜桜なんか見に行きませんか?」
俺「いつもの店で食事したら、夜桜見に行きましょうよ。」

返事は当然OK。
誘って断られたらどうしようと悩んでいた3ヶ月前がウソのようだ。

チーフの目を盗んで退社。
いつもの居酒屋へ。
毎週やっていることだが、いつもと違う緊張感がある。

当然だ。
今日で、”兄妹”の関係にピリオドを打つのだ。


居酒屋では、いつもの会話。
たわいもない会話だが、二人には幸せ。
はじめのうちこそ、なにをしゃべっていいか、判らなかったけど、
“二人でいることが楽しい”
と気づいてからは、気楽になった。

しかし、今日は、重大な目的がある。
適当にお酒も満ちてきたところで・・・実行に移る。


緑茶「里美さん、夜桜見に行きましょうよ。」
里美「いいですね」
二人で連れ立って、夜桜見物。
とはいっても、いつもの公園。
この公園の桜は全てチェック済み。
当然、花見部隊が大騒ぎしているが、ちょっとはなれたところにある、ダレも宴会しないであろう桜の木を目指す。事前に調べてあるのさ。


その桜の木はちょっとはなれたところにある。
人影もなく、”目的”にはもってこい。


緑茶「”お花見”ってどうですか? みんな花より団子で、俺、ちょっと引いちゃうんですよね。」
里美「楽しそうですけどね。」
緑茶「んじゃ、今度のデートのときは、桜の下で飲みますか?」
里美「それも面白そうですね。」

などと会話をしつつ、
目的の桜に到着。
当然、まわりに人影はない。
絶好のチャンス。
あせるな>俺


緑茶「きれいですね。」
里美「きれいですね。」
緑茶「夜桜好きですか?」
里美「好きですよ。大学の帰りに友達と一緒に見たりしてました。」
緑茶「俺も、一人でも夜桜は欠かさず実に来てたな・・・」

緑茶「今年の桜は一段ときれい。」
里美「そうですか」

俺 爆発

緑茶「だって・・・初めて恋人と実に来たんです。」
里美「・・・」
緑茶「3ヶ月前、妹の紹介であなたを見たとき、雷に打たれた気持ちでした。」

酒の力、偉大なり


緑茶「里美さん。俺、あなたのことが好きです。最初のデートのときからね。」
里美「・・・」
緑茶「里美さんが俺を、”兄”として慕ってくれていることは、俺にとって、すごいうれしいことです。里美さんと付き合えっていられるなら、このままずっとこの関係でもいいと、思ったこともありました。」
里美「・・・」

緑茶「でもね、里美さんには・・・妹じゃなくって、恋人になってほしい・・・。」
里美「・・・」

緑茶「里美さん、俺のことキライ?」
里美「・・・いや、そんなことないです。」
緑茶「俺と・・・俺と恋人として付き合ってくれない・・・?」
里美「・・・・・・」


無言がこわい。
だが、ヨッパライはとまらない。


緑茶「2つ、お願いがあるんだ。」
里美「・・・なんですか?」
緑茶「”里美”って呼んでいい?”
里美「・・・・・・・・・・・はい。」

緑茶「ありがとう。じゃぁ、里美、もうひとつのお願い聞いてくれる?」
里美「・・・なんですか?」
緑茶「おでこに・・・キスしていい?」
返事を待たずに、額にキス。シャンプーの甘いさわやかな香り。
人生で、これほど女性に近づいたことはない。
3ヶ月待って念願のキス。額だけど、キスには変わりない!
緑茶人生、コレ悔いなし!!!


ほんの瞬間のキス。
里美はうつむいたまま。

空白の時間が続く・・・
ヤバイ。また地雷踏んだか?
でも、今日の目標は果たした。自分では満足。
・・・満足・・・・のはずなのに・・・・。


緑茶「里美、帰ろうか。」
里美「・・・・・・」
緑茶「家まで送るよ。」
里美「・・・・・・」
気まずい。ちょっと後悔してきた。

いつもの道を二人で歩く。
最大限近づいたはずなのに、いま、最大限の距離感を感じる。
俺も、なんと話しかけたらいいのかわからない。

無言のまま電車に乗り、無言のまま里美の家に着く。
緑茶「里美、また、メールするから」
里美「・・・・・・」

これ以上なく、空気が思い。
後悔しないと誓ったのに、後悔し始めている自分がいる・・・。
VIPPERの言うとおり、もうちょっと待つべきだったか・・・?
でも、このまま”兄妹”の関係を続けるのは、俺にはつらかったんだ。
だが・・・いまはもっとつらい・・・


思い足取りで駅にたどり着く・・・
電車に乗り込み、頭を窓に持たれかける。
そうだ・・・VIPPERに報告しないと。
・・・めんどくさいが、いろいろアドバイスをくれた。礼儀かな。
でもめんどくさい。

緑茶:  もうダメポ

続きは・・・かえってからでいいや。
もう、時間はいっぱいあるからな。

うなだれていると、メールが来た。
妹か?そんな気がした。


里美そんなにいやだったのかな?
妹はいろんな忠告をくれる。
里美が不快に感じたりしたことは、妹からメールで伝わってくる。
直接言えよ!と思うこともあったが、なれてしまった。
なにより、誤解のまますごすよりははるかにいい。

はいはい、反省してますよ。
妹のメールを読む。
それは妹のメールじゃなかった。


メールは里美からだった。
「ありがとうございます」
「ずっと、菊乃のお兄さんだと思っていました。頼りがいのあるお兄ちゃん。
でも、今ではそれ以上のものを感じています・・・・。
びっくりして、何も喋れなかったけど、
今日は・・・うれしかったです。」

コレって・・・!?
キタコレ!!

電車をおり、駅から全速力で家に走った。
駅からそう遠くないが、走って帰ったのはコレが初めてだった。」

着の身着のままパソコンを立ち上げる!
742 名前:緑茶 ◆utCZFQSQMo [] 投稿日:2006/04/6(木) 21:28:28.87 ID:yIRpoG/zO
 おまえら! 目ん球かっぽじって、よく読め!! 


妄想物語 〜 緑茶出会い編
 完



■妄想物語 里美・出会い編

あたしの名前は石原さとみ。20歳。
今日は、これから友達に会うんだ。
友達のお兄さん。
お兄さん、あたしのこと、覚えてくれているかな・・・


菊乃のお兄さんと初めて出会ったのは、あたしが小学生のとき。

小学校のときのあたしは散々だった。
石原菌とか、言われていじめられて・・・
やめて!っていっても、みんなは面白がって、さらにエスカレート。
学校に通うのがつらい毎日だった。

学校はつまらない。
みんながあたしのこといじめるから。男の子はバイキン扱いするし、
女の子もぜんぜん相手にしてくれない。


でも、ひとりだけ見方がいた。
菊乃。
菊乃は優しかった。私がいじめられていると、
「やめなさいよ、菊乃がいがってるでしょ。」
いつも菊乃だけが、私をかばってくれた。

イジメがエスカレートして、とうとう私は学校へ行けなくなった。
自宅に引きこもりの毎日。
でも、菊乃は良く遊びに来てくれた。
私にはかけがえのない、大事な親友だ。


今思えば、彼女は私の引きこもりを救ってくれた人だった。
遊びに来るたびに、私をどこかに連れ出してくれた。
公園へいったり、本屋へいったり。

ある日、菊乃が遊びに来たときのこと・・・
菊「ちょっと遠くの公園まで、いこうよ」
私「えー、遠すぎるよ。」
菊「だから自転車で行くの。あたし、何度かいったことあるけど、大きな公園だよ。」
私「やだよ・・・自転車乗れないもん・・・」
菊「あんなの簡単だよー。練習すればすぐ乗れるよ。」
私「でも、あたし、自転車もってないよ。」
菊「じゃ、うちに遊びにおいでよ。あたしの自転車貸してあげる。」


かくして、菊乃の家についた。
自転車の練習を始めた。
菊乃は頭もいいし、運動神経もある。
菊「ほら、ハンドルもって、前向いて・・・」
口で説明されても、できるわけないじゃない。

何度も転んで、いい加減いやになってきた。
こんなんだったら、もうずっと乗れなくてもいい。

「そんなんじゃ、乗れるようにならないだろ」
男の声がした。菊野のお兄ちゃんだった。


兄「里美ちゃん、俺が後ろ、抑えててあげるから、振り返らず一生懸命自転車こいでみな。」
里「えっ、でも・・・怖い・・・」
兄「大丈夫。俺を信じて・・・」

私は自転車を一生懸命こいだ。
兄「その調子その調子」
後ろから、ずっと声がする。安心して、自転車こぎ続けた。
里「もう怖い、とまる。」
自転車を止めるとき、ちょっと転んだ。
兄「大丈夫? でも、すごいじゃない。こんなにひとりで自転車乗れたよ。」
里「でも、押さえててくれたから・・・」
兄「最初しか押さえてなかったよ。里美ちゃんがひとりでこいだんだよ。」


自分の意思で自転車を操れるようになるまで、それから時間はかからなかった。
自転車が乗れるようになったことで、私の世界は一気に広がった。
友達と公園に遊びに行くのが、どんなに楽しいことか・・・。
菊乃のお兄ちゃんには、今でも感謝している。


その後、お兄ちゃんとは、たまに見かけることは会ったけど、
あんまり一緒に遊ぶことはなかった。

最後に菊乃の家に行ったときは、お兄ちゃんはすでに一人暮らしを始めていた・・・。


中学・高校を卒業して短大へ。
小学校からずっと、菊乃と一緒。
彼女がいたおかげで、私はやってこれたんだと思う。

菊乃は思いやりが会って、とってもやさしい。
私が困っていると、いつでも助けてくれた。
菊乃は誰にでも優しくって、友達もいっぱいいた。


大学生になったある日・・・
菊「里美って、彼氏いる?」
里「いないよ。だって、男の子キライだモン。」
菊「そんな、小学生みたいなこと言わないで。いつまでも子供じゃないんだから。」
里「いいの、あたしは。菊乃みたいに、男の子と喋ったりするのはいやなの。」
菊「そういわないで・・・。実は、菊乃とお付き合いしたいっていう、男がいるんだけど、どう?」
里「いいよーあたしは・・・」
菊「まぁ、まぁ、付き合ってみなさいよ」


気の進まないままデートの約束が組まれた。
しぶしぶ、約束の時間。
男「始めましてー」
いわゆるイケメンだった。
一緒に来てくれるというから来たのに、菊乃は彼氏を紹介すると、すぐに帰ってしまった。

彼女がいなくなるとすぐに、なれなれしくなる男。
いきなり肩に手をかけられたあたしは凍った。

男はしきりにいろんな話をしていたけど、私は何一つ覚えていない。
タダひとつ、早く時間が過ぎることだけを祈っていた。


夕方になって・・・
菊「ごめんなさい、母と約束があるので、これで・・・」
男「また会えるよねぇ。」
菊「今日は楽しかったです。ありがとうございました。」

そのセリフを言い終えると、私は一目散に男の下を去った。
やっぱり、男の子キライ。


夜、菊乃から電話が来た。
菊「どうだった?」
里「すっごいイヤ。わたし、ああいう男の人キライ。」
菊「そうかな・・・きっと気に入ると思ったんだけどな・・・わかった。わたしから断っといてあげるよ。次はもっといい人探すね。」
里「もういいよ・・・」
菊「そんな事言わずに。次は大丈夫だから。」


その後、何度か菊乃は男の子を紹介してくれた。
確かにみんなかっこいい。だけど、生理的に受け付けられない。
みんなすぐになれなれしく、体触ってこようとする。
会って1時間でお尻り触られたときは、泣きながら逃げた。

その中でひとり、ちょっとやばい人がいた。
菊乃が教えたのか、毎日電話をかけてくる。
そして、なぜか「偶然」、町でその人を見かける。
いつも、ひとりで帰るたびに、あとをつけられている気がする。
今から考えればストーカーというやつか。

もう散々、いやになった。
このストーカーっぽい男の人は、菊乃が解決してくれた。
責任感の強い親友。やっぱり頼りになる。


里「菊乃、もう男の人いいよ。あたし怖いから。」
菊「そんなこと言わないで。」
里「でも、どの人も怖かったんだよ。」
菊「里美の趣味は難しいな・・・どんな人が好きなの?」
里「あたしは、普通の、やさしい人が好きなの。」
菊「普通のねぇ・・・例えばどんな?」
里「例えば菊乃のお兄ちゃんみたいな人。やさしい人。」
菊「あたしのお兄ちゃんみたいな人ね・・・」

正直、もう男の人はどうでも良かった。


菊「わかった。わたしのお兄ちゃんと付き合って見ない?」
里「えっ?」
菊「お兄ちゃんみたいな人がいいんでしょ? じゃぁ、付き合ってみなさいよ。大丈夫。兄貴は多分ずっと彼女いないから、すぐ付き合ってくれるよ。」
里「えー いいよ。恥ずかしいよ。」
菊「いいからいいから。」


なぜか心が躍る。
自転車を教えてくれたお兄ちゃん。
引きこもりになりかけたわたしを救ってくれたお兄ちゃん。
他の男の子とは違い、わたしに優しくしてくれたお兄ちゃん。

忘れかけた、小学校のころの思い出がよみがえる。

菊「聞いてる?」
里「えっ? えっ?」
菊「ほらまたボーっとして。寝てたんじゃないの?」
里「そんなことないよ。」


当日。
なぜかわくわくする。
いつもより化粧に、時間がかかってしまった。
おかげで、電車乗り遅れてしまった。

待ち合わせの場所にやっと到着。
そこにお兄ちゃんはいた。
お兄ちゃん・・・思わず声がでそうになる。


緑茶「初めまして緑茶です。」 
里美「石原里美です。初めてじゃないんですけどね。」 
緑茶「そうなんですか?」 
里美「子供の頃に何回か見てます。」 
緑茶「知りませんでした。」 
里美「菊乃ちゃんから聞いてませんでしたか?」 
緑茶「いや、まったく・・・・・・」
772 名前:1 ◆utCZFQSQMo :2006/01/05(木) 16:24:24.19 ID:P3iH9NOm0
  より抜粋(一部改め)

妄想物語 里美・出会い編
 完


■作者紹介

722 :妄想家が申そうか :2006/01/13(金) 22:09:26.82 ID:ydHeEFbh0

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